遠くへ行きたい ⑦ ーカプセルホテルの夜は更けて [時空の旅]

5月の連休に久しぶりに大阪へ4泊5日の旅に出かけることになった。金森幸介くんの歌詞集「心のはなし」の挿絵の原画の展示と毎年ポスターの絵を書いている春一番コンサートを20年ぶりにちょっと覗いて見たいと思ったからでした。もう、大阪には実家も無いし親兄弟も住んでいないので宿泊先を探さないと行けません。ゴールデンウイークやし、予算もあんまり無いし、ゲストハウスはちょっと苦手やし(僕、バックパッカーちゃうし)なのでなかなか適当なところが見つかりません。そんな時うちのものが、こんなんあるでぇ〜、サウナ付き大浴場も入り放題やてぇ、そらええわ、カプセルホテルやけどな、えっ、かかカプセルホテル?なんか懐かしい感じするなぁ。と言う訳で僕の4泊5日のカプセルホテル・ツアーが始まりました。
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そのカプセルホテルは十三(ジュウソウと読む)というところにありました。十三は大阪方面の人には説明不要の阪急梅田から二駅北へ行ったところにある街で、東京の街でいうと、錦糸町あたりでしょうか。
駅を降りると酔っ払った若者たちが大声で騒いでるし、その若者たちにぶつかりながら歩くおっさんは、なんや!文句あるんか!と若者たちを睨みつけてたりします。わぁ〜、十三や、と思いながら地図を見てカプセルホテルの方へ歩いてると、途中の通りの角かどにお兄ちゃんやお姉チャンが立っとって、お兄ちゃん、遊べへん?と寄ってきます。いやぁ、いいですわ、と僕。だいいちお兄ちゃんちゃうし。
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カプセルホテルのフロントは2階にあります。2階に上がるとまず、靴は靴箱に入れてください、と書いてあり、その鍵はフロントに預けます。やっぱり普通のホテルではないなと思いました。あのぅ、予約してますモリですけど、と言うと、はぁいモリ様、4連泊のご予約いただいております。本日はクーポンご利用で2900円になります(安うっ)。これロッカーのキーです、無くさないようにしてください。ロッカーの中にガウンと下着が入ってますから着替えてください。えっ、ガウンにパンツ?やっぱり普通のホテルとはちゃうなぁ、と思ってると、大浴場、サウナは朝4時までご利用いただけます。あっ、これは朝食券です。朝食は10時までです。あっ、はい、ありがとうございます。
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ロッカーの中には人間ドックの検査の時に着るような薄いガウンと同じ生地のトランクス型のパンツがきれいに折りたたんで入っていた。もはや普通のホテルじゃなく、スーパー銭湯である。とりあえずお風呂に入ることにした。
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お風呂は大浴場と言うてるけど、まぁ、普通の銭湯みたいな感じです。確かに横にサウナもあり、マッサージ・サービスもある(3000円)。もちろんシャンプー、リンス、ボディーソープにカミソリもタオルも使い放題である。それと5日のこどもの日には湯船に菖蒲の葉が入っていた。従業員のおっさんたちの感じからは考えられない心遣いがちょっと嬉しかったりしたのです。
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お風呂から上がるとたいていの人は食堂兼休憩室でテレビを見ながらビールを飲んだり、ラーメンを食べたりして時間を潰しているように見えます。本当に寝るときだけカプセルに入るようです。ここでは皆さんガウンを着ているのでお金は持っていないのですが、でも、大丈夫、腕に巻いたロッカーの鍵のベルトについてる番号を見せるとチェックアウトの時にまとめて支払うようになっているのです。後ろの方では大イビキをかいて寝てる人がいました。この人はイビキのせいでカプセルでは隣の人に迷惑がかかるので朝までここで眠るのに違いありません。僕もイビキをかかないかちょっと心配です。テーブルには、足をテーブルの上におかないでください、と書いてあった。そらそうや。
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カプセルの中にはコンセントがあり携帯やカメラの電池の充電ができるのでカメラや手帳など必要最小限のものだけバッグに入れて持って入ります。しかしカプセルにはなぜかロックがなく、新幹線の窓のシェードのような扉があるだけである。従って夜中にトイレに行くときもバッグを持っていかなくてはなりません。そしてこのカプセルに入る時と出る時の格好がなんか恥ずかしいんです。オレは犬か!
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カプセルの中はじっと寝ている分には十分な広さではある。テレビもある、アダルトチャンネルもある、がなぜかイヤホンはない。初日は僕のように普段寝相の悪い人間は横の壁やなんかを蹴飛ばしたりして隣のおっさんに怒鳴られたらどうしょう、イビキがうるさいんじゃ、ワレェ〜、とか言われたらどうしょう、と思ったらなかなか眠れませんでした。2日目からは普通に眠れるようになりましたけど。と言うか最終日なんか、昼間は展覧会では僕の版画を気に入ってくれた人と話をして、春一番コンサートの会場では古い友達にたくさん会って、いっぱい喋って、いっぱい笑って、もう、ヘトヘトになって、やっと夜中にカプセルに入った時、なんかホッとしたのでした。家のものに言わせると、あんたは、本来どこででも寝られるはずや!と言われました。まぁ、こんな感じで僕のゴールデンウイーク・カプセルホテル・ツアーは無事終了しました。ああぁ、たのしかった。ちょっと長くなったのに最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

てな訳で、今回のBGMはカーラ・ボノフの 'レストレス・ナイツ '
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