図書館へ行こう!⑦ [本・音楽]

10年くらい前から小さい文字が読み辛くなってしまった。仕事の時は老眼鏡の上に拡大鏡をつけている。文庫本などを読む時はその上に虫眼鏡を持って読んでいる。新聞記事なんかだとまだいいのですが、小説なんかだとスラスラ読めないので気が散ってしょうがない。そしたら図書館に大活字本というのがあったので、川端康成の「掌の小説」〈上〉という本を借りてみました。その中の一編に「指環」という話があります。貧しい法科の大学生が翻訳のバイトを持って山の温泉場へ行ったら、林の中の小料理屋で芸者が3人昼寝をしていた。彼が温泉に入ろうと川原の方へ降りて行くと11歳か12歳ぐらいの少女が湯船に裸で立っていた。まぁ、子どもやからええんちゃう、と彼はすっぽんぽんで少女のそばに入った。すると少女は彼を誘うような素振りを見せて微笑んだ。からだを一目見ると芸者の子だとわかった(この大学生すごいなぁ)。そして少女は突然左手を持ち上げて「あら!はずすのをすっかり忘れていたわ。そのまま入ったんだわ。」と叫んだ。彼は思わず少女の誘いにのって手を見てしまう。少女は「蛋白石(オパール)よ。」と言った。それから彼と少女は何やかや話をしながら少女の手を弄んでいるとその指環が美しく見えてきた。というほんまは叙情的でちょっとエロチックな話ですが、大活字本で読むとなんか大きな字と広い行間で情感もなく、もうひとつエロい雰囲気が出ませんでした。それで挿し絵もこんな川端康成の世界とはほど遠い感じになりました。やっぱり少々読みにくくても文庫本を読もう、と思いました。

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最近は古いジャズやロックの名盤が安い値段でいろいろ再発売されています。それで図書館にもたくさん入ってくるようになりました。名盤と言はれているけどぼくが若い時にはあまり聞いてこなかったレコードをCDで借りて聞いてます。

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マイルス・デイヴィスは今でも一番よく聞くジャズ・ミュージシャンです。そしてたくさんの名盤があります。しかしこの「サムデイ・マイ・プリンス・ウィル・カム」(1961年録音 ) はディズニー・アニメの「白雪姫」の挿入歌で「いつか王子様が」という邦題で超有名な歌なのでなんとなく軟弱そうであまり聞いてませんでした。ジャケットも女の人やし(この人当時のマイルスの嫁さんらしい)。しかし今聞くと親しみやすいメロディーとマイルスのミュートトランペットがめっちゃ気持ちよかつた。



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MJQ(モダン・ジャズ・カルテット ) といえばジャズとクラシックの融合とか言ってちょっと気難しい音楽のイメージがあります。実際写真なんか見てもスーツとか、タキシードとか着てたりします。だいたいモダン・ジャズのバンド名に「モダン・ジャズ・カルテット」なんて付けるのはインテリに決まってますやん、ロックバンドの「ザ・バンド」とか、お笑いの「漫画トリオ」とか(ちょっとちゃうか?)。
そして彼らのこの「フォンテッサ」(1956年録音)というアルバムもジャケットの絵を見てもわかるようにヨーロッパのクラシックの雰囲気が漂っています。「フォンテッサ」はルネッサンス時代の喜劇だそうです。しかし今このアルバムを聞いてみると紛れもないモダン・ジャズでした。


ということで今回のBGMはマイルス・デイヴィスの’ サムデイ・マイ・プリンス・ウィル・カム ‘ です。





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