スポーツ報知「すみだ地域コミュニティー紙」6号 [仕事]

 スポーツ報知の「すみだ地域コミュニティー紙」6号が出ました。今回は特集が向島の芸者さんと言うことなので隅田川と芸者さんとちょっと早いけど桜をテーマに絵を描きました。紙面の文章は読みずらいと思うので原画と文章をそのまま一緒に載せます。僕の文章では「芸者さん」と書いていますが紙面では「芸妓さん」になっています。これは芸者さんの組合や墨田区観光課などで「芸者」さんではなく「芸妓」さんと言う呼び名が使われているために変えられています。芸者さんの方が可愛んですけどね。

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 あっという間に年が明けてしまいました。年々時間がすぎるのが早くなっていくような気がします。今回の特集が「向島の芸者さん」ということで、昨年の11月にたくさんの芸者さんたちが三味線や笛や太鼓や唄に合わせて踊る「向島をどり」を鑑賞しました。舞台の上の艶やかに踊る芸者さんたちもよかったのですが、私は観客の中にたくさんいてはった芸者さんらしいお姉さんたちの着物の着こなしや髪型、身のこなしなどに魅了されました。芸者さんをこんなに間近で見るのは初めてで、私のようなしがないイラストレーターには所謂「お座敷」の経験などないし、たまに散歩の途中で、あっ、芸者さんや、というくらいなのでとてもリッチな気分になりました。そういえばコロナ禍になる少し前に隅田川の「墨堤さくら祭り」の時に向島の芸者さんたちが「芸妓茶屋」を出しているのを見たことがあります。その時は人がいっぱいだったので素通りしましたが今年もしお店が出ていたら入ってみようと思いました。
 そういうことで今回の絵はちょっと早いけどもうすぐやで、と桜と芸者さんと隅田川を描くことにしました。参考になればと思い隅田川と桜というテーマで検索すると江戸時代には北斎に広重、明治になると小林清親とその弟子でわずか25歳で亡くなった井上安治(杉浦日向子の漫画『YASUJI 東京』のモデルの人)などたくさんの絵が残っています。それでも絵を描くためには墨堤通りを見といたほうがええかなと思い散歩がてらに出かけました。すると言問団子の店の前に一本の古そうな大きな桜の木があり、その先は今は堤防で見えないけれど隅田川で、横の道はゆっくり左に曲がっている。あれっ、この景色の感じは見たことがあるぞ、と思い家に帰ってから調べて見ると井上安治の「向島 桜」という題の木版画でした。背景の感じは違うけれど桜の木と道と隅田川の構図がこの場所に違いないと確信しちょっと嬉しくなりました。

            すみだ1月号1面(最終版)のコピー.jpg


 それからうっかりしてブログに載せるのを忘れていましたがスポーツ報知「すみだ地域コミュニティー紙」の5号も出ていますので載せます。

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 私が世田谷区の経堂から墨田区の押上に住むことになったきっかけは、もうちょっと安くて広いところ(自宅兼仕事場)に引っ越ししたいなぁと、ネットで調べていたら向島の見番通り沿いに、ちょっと古いけど広くて安いところが見つかった。グーグルのストリートビューで見たら通りをひとつ渡ると隅田川で近所の風景も懐かしい感じでええなぁ、と思いました。
 早速、小田急線と東京メトロ半蔵門線を乗り継いで錦糸町の部屋探しのチェーン店までいきました。出てきたSMAPの中居正広風の兄ちゃんに、あの部屋見せてもらえますか?と聞いたら、あれは見せられません、と言う。なんで?といくら聞いても教えてくれません。代わりの物件ばかり勧めてくるので、もぉ、ええわ、と店を出ました。せっかくなので錦糸町の地元の不動産屋があったので入って事情を説明したら、向島あたりのいくつかの物件を案内してくれました。その中のひとつは向島の料亭街にある元料亭で、部屋はリノベーションされ広さも十分で間取りも面白かった。男子トイレがあって用を足すところも2個並んでいた。かな乗り気になったけど、ただひとつ元料亭だけあってベランダが無いので洗濯物を外に干せないのである。結局そこは諦めて今の押上の懐かしい雰囲気の残る十間橋通り商店街沿いのマンションに決めました。窓から見えるスカイツリーは当時はまだ半分くらいでした。
 ここから隅田川や浅草方面に散歩に行く時に向島を通ります。夕方なんかには着物姿の芸者さんが歩いていたり昭和30年代からある季節の生ジュースとくるみパンが名物の喫茶店(残念ながら今年の7月に閉店)もある。「めうがや」という足袋屋さんもあり、暖簾(のれん)には「御召 足袋」、ガラス戸には「お誂(あつら)え」と書いてある、今どき足袋のお誂えってさすが花街向島です。
 山田洋次監督最新作、吉永小百合、大泉洋主演の映画「こんにちは、母さん」は向島の足袋屋のおかみさん(吉永)と息子(大泉)の話です。映画を見ると足袋屋のセットは「めうがや」そっくりで、実際にここがロケ地でした。せっかくなので近所やし足袋のひとつやふたつ誂えてもええかな思いました。 
 ということで今回の絵は映画「こんにちは、母さん」を懐かしい昭和のポスター風に書いて見ました。

             すみだ9月号1面0827のコピー.jpg


 そんなこんなで今回のBGMはブロッサム・ディアリーが歌う有名なジャズのスタンダードナンバー「イット・マイト・アズ・ウェル・ビ・スプリング」です。春はもうちょっと先ですけど・・・。


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