ぼくのたからもの(仮) [雑記]

イラストレーターの大大先輩の灘本唯人さんが7月に亡くなった。90歳だったそうです。すごいなぁ。僕は40歳で大阪から東京に出て来て、50歳を過ぎてからあこがれの東京イラストレーターズ・ソサエティー(TIS)に加えてもらった。灘本さんはそのTISの当時の会長さんでした。初めてTISの総会に緊張しながら出席し、その後に懇親会というのがあって、僕が昔から知っている有名なイラストレーターの人たちの雑談が始まりました。僕の方は絵も顔もよう知ってるけど、誰も僕のことは知らんやろなぁ、と緊張しながらちょっとだけ知ってる関西出身のひとがいたのでしゃべってました。するとそこへ灘本さんが近づいてきて、森さんは関西のひと?と聞いてきはったので、はい、大阪です。今は東京に住んでますけど。と言うと、やっぱり、関西弁はええなぁ、ほっとするわぁ。と言われた。(灘本さんは神戸の人です)それからは灘本さんは僕にはいつも関西弁で話しかけてくれはりました。ほんま、やさしいひとでした。

           灘本さん.jpg

そして10年くらい前、あるイラストレーターの個展のオープニングの二次会で灘本さんと和田誠さんと若いイラストレーターや編集者のひとたちと同席になったことがありました。その時、灘本さんは若いイラストレーターと編集者の人(女性)に和田さんの絵について何か説明しょうとしていたみたいで、急に僕に、森くん、和田さんの絵のまねできる?、と聞いてきはったのでぼくはびっくりして、はい、出来ると思います。と言つてしまいました。(なんといってもぼくは和田さんの絵を見てイラストレーターになりたいと思ったんですから)すると灘本さんは店のナプキンとサインペンを出してきはったので、ぼくは和田さんが描くような男の子の顔を描きました。それが下の絵です。
           森の和田さん.jpg
それを見た灘本さんは、わぁ、森くんうまいなぁ、僕はうまく描けないんや。といいながら、和田くん、森くんは和田くんの絵のまねうまいよ。とぼくがナプキンに描いた和田さん風の絵を見せはりました(えっ、灘本さん、なんちゅうことするんですか、ぼくはドキッとしました)。その絵を見た和田さんは、やっぱりちょっと不機嫌そうに、こんなのちがうよ、と言ってぼくが和田さんを真似た絵の横に和田さんがぼくの描いた和田さん風の絵を描き直してくれはりました。それが下の絵です。
           和田さんの和田さん.jpg
ぼくは思わず和田さんに、すいません、ちょっとそこにサイン入れてもらえませんか?とお願いしてしまいました。という訳でそのナプキンはぼくの宝物になりました。灘本さんのおかげです。ありがとうございました。それにしても線のきれいさ、形のバランス、やっぱり雲泥の差であります。

という訳で今回のBGMは、ビル・エヴァンス・トリオのアルバム「 ポートレイト・イン・ジャズ」から’ ブルー・イン・グリーン(テイク3)’ です。

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ばんないたく

森さん、昨日はありがとうございました〜

早速ブログ拝見しました。
素敵なエピソードですね・・ウルル。。

ブログ、ちょくちょく覗きにきます
またどこかでお会いできたら嬉しいです。
ではでは。
by ばんないたく (2016-09-07 11:47) 

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