遠くへ行きたい ⑧ [時空の旅]

まだまだ続く新コロ禍の中、久しぶりに東京駅に行きました。といってもGO TO トラベルとかいうので何処かへ旅行に行ったわけではありません。東京ステーションギャラリーに『もうひとつの江戸絵画・大津絵』展に行ってきました。めっちゃ面白かったです。
大津絵とは江戸時代初期に東海道の大津周辺で作られていた土産物だそうです。型紙や版木押し(スタンプ)でだいたいの絵を作り手彩色で仕上げる。簡単で大量に作れるので安価で気軽に買えると、お伊勢参りなどの旅人に土産物として人気があったようです。絵柄は仏画や戯画から風俗画、教訓画、そして護符といろいろあります。たとえば裸の鬼が風呂に入るところが描いてある絵はタイトルが「鬼の行水」で「身体の汚れは落とせても、心の汚れを落とせない」というようなことが絵の周りに書いてある。同じ絵柄でもちょっとづつ違う絵がいろいろあって、その素朴でユーモラスで美しい絵に魅せられた明治以降の画家や文化人や目利きたちが競って収集したらしい。ただなんせ安物の土産物なんで残っているものが少ないらしく、今回の展示ではその絵の持ち主や誰から譲り受けたのかという履歴が書いてあるのがおもしろかった。例えばある絵は渡辺霞亭から何人か続いて最後に柳宗悦とか、ある絵は梅原龍三郎から始まって最後は小絲源太郎というように。あー、面白かった、と出口のところに行くと「大津絵を作ってみましょう」(お一人様1枚まで)と一部分が欠けている大津絵が3点印刷されたシートが置いてあった。下の絵は顔と手をぼくが描いて色を付けました。この絵のタイトルは「鬼の念仏」で、子どもの夜泣き除けに使われたそうです。

            大津絵・鬼の念仏.jpg

ということでぼくもなんか大津絵みたいな絵を描いてみたくなり、いろいろ考えてこんな絵になりました。この絵はもともとぼくの高校の時の同級生で大阪のミナミで長年バーをやってる友人の2006年・戌年の年賀状のために描いたものを大津絵風にアレンジしたつもりやけどぜんぜんうまくいきませんでした。あかんなぁ〜。余談ですがこの友人のバーの年賀状を初めて描いたのは1979年で、いまもずっと描いてます。長く続けてたらええちゅうもんでもありませんが、この年賀状は、みんなにえらい受けたでぇ〜、と喜んでくれました。

            大津絵・犬もあるけば.jpg


今回のBGMはスティーヴィー・ワンダーの1974年のアルバム「ファースト・フィナーレ」から ‘ 1000億光年の彼方 - Heaven Is 10 Zillion Light Years Away ‘ です。



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