図書館へ行こう!⑥ [本・音楽]

久しぶりに図書館で見つけた懐かしのレコードです。「ウィントン・ケリー・トリオ/イッツ・オール・ライト」と「ハービー・マン/アット・ヴィレッジ・ゲイト」です。高校三年生のころ勉強もせんと学校の帰りに大阪梅田にあった「Check」というジャズ喫茶によく行ってました。この店は後に壁から天井から便所の中から便器まで全てOXOXの記号のような絵で覆い尽くされた。当時話題の具体美術協会の向井修二の作品やで、と姉が教えてくれた。そんなちょっと前衛的な暗い店内で真っ黒なコーヒーを飲みながらちょっとタバコ(ゴールデン・バット)なんか吸い、ぼーっとモダンジャズを聴いてました。店内では暗いのに本を読んでる人、下を向いて頭振ってる人、寝ている人で昼間やのに結構お客さんがいました。当時「Check」ではリクエストするとLPの片面全部をかけてくれました。しかしその頃は、俺、ちょっとジャズにはうるさいで派の大学生やサラリーマンの間ではジョン・コルトレーンやオーネット・コールマン、セシル・テイラーのような僕にはちょっと難しそうで退屈に聞こえる前衛的なジャズがかっこええでぇ、という雰囲気があり、僕の聴きたいこの二枚のアルバムやホーレス・シルバーのソング・フォー・マイ・ファーザーやラムゼイ・ルイスのジ・イン・クラウドのようなちょっと軽いけど人気のあるファンキーなレコードをリクエストするのはちょっと勇気がいったのものでした。

           ハービー・マン.jpg

藤牧義夫という昭和初期に活躍した木版画家がいる。25年くらい前に「日本近代版画の歩み展ー永瀬義郎と大正・昭和戦前期の作家たち」という展覧会で藤牧義夫の作品を見た。この時の図録は今でも僕の木版画のバイブルのひとつです。当時としてはすごいモダンなテーマと思はれるガソリン・スタンドを描いた多色刷りや隅田川にかかる白鬚橋や清洲橋を大胆な構図でザックザックと彫った白黒の版画などかっこええなぁと思いました。そして版画ではないが白黒の線のみで彼が歩いた隅田川の風景を描いた有名な作品「隅田川両岸絵巻」という、なんと全長60メートル(全四巻 )にも及ぶ大作を残している。しかしその後彼は姿を消してしまい今だに行方不明のままである。24歳だったという。その後、彼と版画創作活動を共にした先輩版画家の、彼は孤独と貧困の中、苦悩のうちに彼が一番愛していた隅田川に身を投げたのだろう、と言ったことが一般的になり、僕もそう思っていました。ところがこの本「君は隅田川に消えたのかー藤牧義夫と版画の虚実」駒村好重 著 (2011年・講談社 )では本当にそうなのか、その先輩版画家はなぜ藤牧に、隅田川に身を投げた苦悩の版画家像をつけたのか、彼の元からいっぱい出てくる藤牧の版画はなんなのか、贋作ぽいのもあるけど、どーなってんねん、みたいなことがまるでミステリーのごとく明かされて行くのだが・・・・・。普段あまり本を読まない僕ですけどこれは面白くて一気に読み終えました。

           君は隅田川に消えたのか.jpg

ということで今回のBGMはもちろんウィントン・ケリー・トリオの 'イッツ・オール・ライト’です。この曲は当時は知りませんでしたが、後々、大好きになるカーティス・メイフィールドの曲やったんやと知りました。



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