遠くへ行きたい ➈ [時空の旅]

 相変わらず不要不急の外出を自粛しているが、やはり気になる展覧会などは見てみたいと思う、というわけで久しぶりに散歩以外の外出をしました。
 練馬区立美術館で開催されてる「電線絵画展-小林清親から山口晃まで-」です。明治初期から現代までの電線、電柱が描かれた絵を集めた展覧会ということである。電柱を描くのが好きな僕としては絶対見たいと思い行ってきました。
 僕の住んでる隅田川のこっち側から練馬の方へは地下鉄を3回くらい乗り換えて行きます。片道1時間半以上かかりました。遠いなぁ、そして久しぶりに乗った地下鉄は思ったより人が多かったです。この前に乗ったのはいつやったか忘れてしもたけど、もうちょっと空いてたような気がしました。
 展覧会のテーマが電線と電柱なんで、絵は木版画もあれば大判錦絵、石版画に水彩画や油絵や日本画や漫画もある。サイズも木村荘八のハガキ大くらいの新聞小説「濹東綺譚」の挿絵から佐伯祐三の50号くらいの油絵「下落合風景」までいろいろあってめっちゃ面白かったです。
ちなみにこのチラシの絵は小林清親の『従箱根山中富嶽眺望』明治13年 (1880)大判錦絵 です。
電線絵画展・チラシ.jpg

 僕も風景の中に電柱を描くのが好きというか、電信柱を描くとなんとなく絵が締まって落ち着いたような気がするのです。しかしそれで失敗したこともあります。だいぶ前のことですがカレンダーで文学作品をテーマに6枚の絵を描くという仕事でした。それで国木田独歩の「武蔵野」のための絵を描いた時、遠く地平線の向こうに電線と電柱を描きました。ところが絵を渡してしばらくたった時、デザイナーから「あのぅ、先ほどスポンサーさんから連絡があり、国木田独歩の「武蔵野」の時代(1898年、明治31年)にはまだこの辺りには電気は通ってなかったのではないか?というクレームが入りました、やり直す時間もないので印刷所の方で電線と電柱をとってもらうことにしますが、いいでしょうか?」という話でした。「はい、すいませんよろしくお願いします」と言いました。恥ずかし。これがその原画で電線と電柱が描かれています。
武蔵野.jpg

 ということで小林清親や川瀬巴水と比べるのは恐れ多いのですが、電線、電柱が描かれている僕の絵をいくつか載せてみました。「僕の電線木版画編」です。古いものは1996年から新しいものは2017年です。
 まずは川本三郎さんの「荷風と東京」の装画です。隅田川沿いの昭和のはじめの下町の風景をイメージして描きました。遠くに見えるのは清洲橋です。
「荷風とと東京」装画.jpg

 これは小説新潮の表紙絵です。都電荒川線の面影橋駅です。
都電・面影橋.jpg

  これも川本三郎さんの「林芙美子の昭和」の装画です。林芙美子が暮らしていた昭和の落合をイメージして描きました。遠くに見えるのは新宿の街です。
「林芙美子の昭和」装画.jpg

 こちらは川本三郎さんの「芸術新潮」誌での連載「言葉のなかに風景が立ち上がる」のなかの重松清の「定年ゴジラ」についての文章のための挿絵です。多摩ニュータウンをイメージして描きました。
ニュータウン.jpg

 これは青山にあるビリケンギャラリーでの企画展「私のセンチメンタル通りーはちみつぱい・トリビュート」のために描いたものです。
私のセンチメンタル通り.jpg

これは大阪の伝説の野外コンサート「春一番」のポスターです。西岡恭蔵さんの「春一番」という歌をイメージして描きました。
「春一番」2017ポスター.jpg

 最後は永井荷風の「濹東綺譚」を1枚の漫画風に描いてみました。木村荘八の挿絵を参考にした絵があります。
「濹東綺譚」.jpg

今回のBGMは大阪の野外コンサートのライブアルバム「春一番スペシャル・セレクション- 地球は皮をはいだ」の中からはちみつぱいの「へいの上で」です。


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